彼女がコートに立つ理由

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 レギュラー陣は揃って首を振る。微かに青ざめているのは、この状態を不二が見た時に吹き荒れるであろうブリザードが恐ろしいからだ。  抵抗も虚しく、初佳はテニスコートへ引きずり込まれて肩を落とす。この上不二がいたらどうしようかと思ったのだが、幸いいないらしい。 「菊丸先輩。不二先輩はいないみたいだから失礼しますっ」  菊丸の手が離れたチャンスを逃さず振り返った初佳の前に。 「…初佳?」  心底驚いたような不二がいた。  初佳の顔が引き攣る。 (厄日…絶対厄日!今日の占いカウントダウンが、9位なんていう悪くもなく良くもない中途半端な順位だったからこんな厄日に…っ!)  そもそも『ラッキーアイテム:テニスボール』とか出た時点で、今日の運のなさを覚悟しておくべきだったのだ。テニスボールって何。一般人にテニスボールがすぐ入手できるのか?なんでいっつもその日には微妙に入手しにくいものばかり…!?  某チャンネルの朝の占いに八つ当たりしつつ、初佳は不二からどう逃れようかと隙を伺う。  何か一言でもいえば不二に言いくるめられそうな気がしていた。 「どうしたの、初佳。何かあった?」 「…何も。菊丸先輩に、引っ張ってこられただけ」  視線を逸らすのはせめてもの抵抗だった。先程の抵抗は無駄だったが、今回は…、…………今回も、無理かもしれない。  だって不二がとても嬉しそうだ。バックに花が見える。 「英二、ダメだよ。無理矢理引っ張ってきたりしちゃ」 「え~?でもさー不二、初佳ちゃんそこまできてたんだよ?不二に会いにきたんじゃないかにゃ?」 「違う!もう本当に全力で違うから!」
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