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振り返りながらもラリーを続けている不二。流石、といったところか。フェンスを揺らした主は、木の陰にいたはずの初佳だった。
「どういうこと?」
初佳の表情の険しさに驚きつつ、桃城が答える。
「この間の大会で、ココにテニスボールが当たっちまったんだよ。つーか狙われてな」
「隙あり」なんて言ってたしなーと桃城が腕を組む。テニスなのに身体に攻撃するのはいいのか。
「病院は!検査したの!?」
「何ともないから大丈夫だよ」
「私はしたかどうかを聞いてるの!」
埒のあかない不二に、初佳はフェンスの扉を開けてテニスコートに乗り込む。1番入口に近いコートにいた二人はこんな状況でもラリーを続ける。
「…いってないよ」
「いきなさい、今すぐ!頭は怖いんだからね!?」
すごい剣幕の初佳に、不二は表情に出さぬまま驚いていた。確かに頭、脳は怖いかもしれないがここまで真剣になるだろうか?
「でも練習が…っと」
不二は投げ付けられたテニスボールをラケットで上に跳ね上げ、ラリーしていたボールと共に左手で掴む。
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