彼女がコートに立つ理由

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「練習なんかどうでもいいでしょう!?」 「よくないよ。全国も近いんだから」 「…なら」  ぎゅっと唇を引き結んで、初佳は不二を睨みつけた。 「私と、勝負して。負けたら病院で検査受けて」 「勝負?」  いつの間にか、辺りは静まり返っていた。視線の中心にいる二人は片方はおもしろそうに、もう片方は不機嫌そうに。 「テニスで1ゲームよ。私にまで負けるようじゃ、問題アリよね?」  相手は全国大会優勝校に勝利したプレイヤー。片やテニス嫌い。勝負の行方など火を見るより明らかだ。  それでも初佳は物おじせず、堂々と言い放った。 「私が1ゲーム取ったら、聞いてもらうからね」  そして、冒頭に戻る。
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