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ね、不仲説まで流れてるの、知ってる?彼氏はテニスで有名なのに寄り付かない彼女、だそうだよ。
出来るだけ普通の声で言ったつもりだったけど、恨めしげな音が少しでてしまったかも。やっと終わったらしく、君はプリントをまとめてシャーペンをポーチにいれた。
「不二君」
「なに?」
振り返った君は不満げだった。ついでにため息までついてくれるものだから、嫌われたのかも、なんて思ったりして。
ああ、どうしてこんなにも君に一喜一憂してしまうんだろう。
「私にテニスを見ろっていうのはね」
「…うん」
「『僕の浮気相手と会ってみないか?』って言ってるようなものよ」
浮気、相手?
たぶん、その時の僕は随分と間抜けな顔をしていたはずだ。
「…テニスが?」
「テニスが」
本格的に君は帰宅準備を整えてしまった。バイバイ、といえば完了だろう。まだ後、15分もあるのに。
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