彼女がテニスを避ける理由

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「関東大会の後から雰囲気変わってきたし、なんか嬉しそうだし…いや、別に悪いってわけじゃなくて、寧ろいい傾向なんだけど」  眉を寄せている君は小声で呟いているけど、静かな教室だからしっかりと聞こえている。  関東大会で初めてテニスで勝敗に執着してから、どうやら僕は変わったらしい。僕自身も乾も気付かない変化を難無く君は気付いてくれたのか。…………というか、もしかして。 「…やきもち?」  つい。本当につい声に出てしまった。  ぴくりと君の肩が震えて、顔は赤く染まっていく。…可愛い。滅多に照れたりなんかしないから、照れても隠すから余り見られない顔。 「……違います、断じて違います。気のせいっ!」  鞄を掴んでドアへ走って行く君を、僕は雑誌を閉じて鞄を持って追い掛ける。君は赤くなったまま、僕を睨みつけた。身長差があるから上目使いになって、可愛いと思いこそすれ恐くはない。 「なんで笑ってるの?」 「いつも通り、じゃないかな」
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