prologue

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「お兄ちゃーん?」 そんな愛くるしく、じつに可愛らしい声で呼んでくるやつ。いわゆる一人の妹だ。俺のたった一人の家族とも言えるようなかけがえのない存在だ。 肩まである栗色のショートヘアに四六時中つけているボロボロの帽子がトレードマークの幼女。うん幼女。 そんな小学生のような妹が俺にはいた。実際中学生だがな、しかも中学三年生だよ。 名は坂井佳奈。この俺、坂井翔の自慢せざるを得ないたった一人の妹だ。 「お兄ちゃん、おはよ」 ピンク色のパジャマの格好のまま瞼をごしごしと擦る我が妹はさすがに眠たそうだった。 まぁ、いつものことだ。気にしない気にしない。
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