prologue

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「おにーちゃん?朝だよーっ?遅刻しちゃうぞーっ?」 ……いや、だから何だよその三文芝居みたいな低空飛行型のトーンで語りかけてくる声は。さっきまでの可愛らしい声はどこいったんですか? 「まったくもぉ、おにーちゃんは本当に寝ぼすけさんなんだから……」 いや、だからね?なんか知らないけど半分強制的に寝かされたんだからね?そこのところ分かってますかぁ? ていうかなんかおかしいって。なんか裁縫に使う糸みたいなものが顔にかかってるし。むちゃくちゃ痒いんですけど? 「おにーちゃん、起きろ!」 いきなり撫でられた。しかも抱きしめられながら。我が妹だと甘く見ていたがこれほどまどに実っていたとは、この坂井翔!一生の不覚!一生でもないけど。 ていうかダメ……遅刻なんですけど?高校生活初っ端から遅刻って笑えねぇよ?まぁ、あれだ。あれだよあれ。 とにかく恥ずかしいって。羞恥心率限界突破するって、絶対に、確実に、必然的にだ。 それを知らないんだこいつはぁ! でも逆らえない……。
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