第一章

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 朝日が爽やかに照りつけるなんとも穏やかな朝、制服を身に纏った少年少女たちが道を歩く。いつも通りの光景である。  この町にはこの大陸で一番大きい学園、鳳凰(ほうおう)学園がある。設立者が東の地の出身であるから、やはり名前は東方式の魔法名っぽい。  周りはグループが殆どである。一人で歩いている人間は辺りを見渡しても見つからない。……俺以外は。  ……別に友達がいないわけではない。ただ、俺の家は学園から物凄く遠い位置にあるのだ。全生徒の中で一番遠いらしい。その家が三つ隣の町なのだから当たり前か。歩いたら軽く二日はかかる。  昨日みたいに札を使って転移できるからいいのだが、とある事情により人に見られたくないので、学園からそれなりに離れたところ、しかも人の目に付かないところでこそこそと施行するしかない。……あれ、俺って孤独なのか?  まあ細かいことは気にしない主義だ。今はこの孤独な通学路を一刻も早く駆け抜けるとしよう。
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