序章

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◆◆◆  ここは深夜の裏街道。  この大陸の中でも比較的治安のいいこの国、『テリア王国』の裏の顔。辺りには異臭が漂い、明らかに気のふれてそうな方々が壁に座り込み、なにやらおぞましい声をあげながら笑っている。  そんな泣く子も黙る、いや、寧ろ発狂しかねないほどの不気味な場所をほっつき歩いている学生、俺ことロイ・エクストは、とある任務のためにここに来ている。  上司から聞いた話によると、 『裏街道のさらに奥でねー。薬、もちろん違法もののね、出回りが異常に増えてきているらしいの。とりあえず様子だけでも、願わくはその場で取り締まっちゃてー』 だ、そうだ。  普通さ、そんな危ない場所にこんな子供を一人で送り込むなんざ、人間のやる事じゃないよな。鬼だよ、鬼。  つまるところ、俺は現在進行形で絶体絶命の一歩手前にいる。いつ戦闘になるかも分からないし、最悪死んだっておかしくないわけ。
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