序章

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 さて、そんなことを述べている内に、その裏街道の奥とやらに着いた。  んー。右見て、左見て。  ……あれ?おかしい。見事なまでに無人だ。さっきまで見かけてた気のふれてそうな方々も見当たらない。本当に薬の取り引きなんて行われているのか?人の気配が全く感じられない。もしくは、既に終わったか、あの鬼畜上司の誤報か。……いや、後者はあり得ないな。あれはあれでちゃんと仕事をする人間だ。長い間部下をやっているがあの人が大きいミスをしたところなんて見たことがない。  てことはやはり前者か。  そう思った俺はこんな不気味な場所にいつまでもいる意味はないと悟り、この場を後にしようとした。 「・・・・・・・・・・・・・・!・・・」 「いや・・・・・・・・こ・・・・では・・・」  ん?、ここからさほど遠くない場所で、男の声が聞こえてくる。人数は恐らく二人。例の薬売りだろうか?一つは酷く掠れたガラガラ声。もう一つは、駄目だ聞きとれない。どうやらガラガラ声はかなりの大声で怒鳴っているらしいな。
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