序章

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「唸れ、〝激水流〟」  魔法の名を唱えた瞬間、札からとてつもない量の水が溢れ出す。  俺が使った魔法は、〝東方式〟と呼ばれるもの。  この世界では、魔法は大きく二種類に分けられる。ひとつは今俺の使った、東方式。もうひとつは、西方式と呼ばれている。  その名の通り、発祥が西の大陸、東の大陸かの違い。そして根本的な作りも違うため、殆どの人間はどちらか片方を使用する。  これについてはまた次の機会に話そう。今は目の前にいるずぶ濡れの女の子の保護と、ゲス共の始末が最優先だろう。 「な・・・なんだっ? お前は!」  ゲスが色々と喚いているが関係ない。こいつは半殺しにした後我が職場にお持ち帰りだ。  俺は再び札を取り出し、魔法を施行する。 「吹け〝風砕〟」  突然の、突風。  札から強烈な突風が飛び出し、ゲス共を貫く。ゲス共は壁を突き破り、奥の部屋へと姿を消した。本当は雷をぶつけてやろうかと思ったのだが、生憎辺りは水浸しである。俺も女の子も感電しかねない。
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