第一章 日常

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「ところで紀夫、結局宿題終わったんだろ?」 俺は眠い目を擦りながら、聞いた。 「おー、終わったぜ」 「じゃあ俺の宿題見てくれよ」 「いいぜ。1000円な」 「な!? お前! 金取るのか!?」 「世の中そんなに甘くないのですよ、夏巳君」 その紳士口調腹立つな。 「ジュース! 帰りにジュース奢ってやるから!!」 「しゃーねーなー。じゃあ夏巳の苦手な化学だけ見てやるよ」 「……ドケチ。全部見ろよ。」 「やっぱり2000円にするか?」 ……げ。 聞こえてた。 「すいません紀夫様。調子乗りました」 「「…………」」 俺たちは顔を見合わせてニヤリと笑った。 これから楽しい夏休みが始まる。 そう考えたら嬉しくて仕方ないのだ。
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