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そして次の日。
(遅い・・・)
僕は約束の8時より20分前に○○公園についた。
望遠鏡やカメラの準備をして待っていた。
そして、8時ちょうどになったのだが・・・
「来ない・・・」
あいにく携帯の番号は交換していない。
「・・・いつもと同じじゃないか」
そうつぶやくと、シートの上に身を投げた。
まだ空には夕焼けの明かりが少し残っている。
(あと少しで星が見える・・・)
天気予報では雨は降らないと言っていた。
しかし、完璧当たる事は無理なので、念のために傘を用意した。
この公園は人通りが少なく外灯の間隔も広いため、星を見るのには最適な場所だった。
「お腹すいたな・・・」
かばんからお菓子を取り出し、食べながら星が光りだすのを見ていた。
「きた」
空が暗くなっていくのが分かり、星が見え始めた。
そして、そのとき。
「ご、ごめん・・・遅くなった・・・」
帝先生が来た。
「・・・遅い」
「ごめんなさ~い・・・」
「・・・反省」
「はい・・・」
帝先生はシートの上で正座をし、『反省』をしていた。
「先生。 星、見ないの?」
「あ、見る!」
キラキラと瞬く星は、とてもきれいだった。
夜空には満点の星。
闇に包まれた世界をやさしく照らす月と星。
「・・・すごくきれい・・・」
自然と言葉が優しくなる気がした。
「彦星と織姫、会えるといいね」
「うん」
この後は会話などほとんどしなかった。
静かに星を見上げる。
そんな時間が1秒でも長く続くように。
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