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「朝斗くん、まだ晩ご飯食べてないですか?」
扉を開けると、その先には予想通りいつもの小柄な奴がいた。俺と同様にこのマンションから同じ高校に通う、日比野 友佳[ひびの ともか]だ。
「あぁ、やっぱり友佳か。とりあえず中に入るか?」
そう言って俺が迎えると、何の遠慮もなしに俺を追い越してずかずかと入ってくる。
そして、テーブルにあるコンビニ弁当を指差して一言。
「不健康の極みですね」
「悪かったな」
席についた俺は友佳の言葉を受け流しつつ、弁当を食べ始める。
「それにしても、いつも掃除だけは行き届いてるんですよねー」
友佳はというとキッチンの清潔さを評価しながら、家から持参したであろうショルダーバッグから食材出し始めていた。
・・・・・・え?
「何やってんだ?」
そう聞くと、俺の方に豆板醤を突き出してくる。
「今日は、麻婆豆腐を作るのです!」
なるほど、俺が中華料理が好きなのを知って・・・・・・
って、いや違うし!
「何で人ん家のキッチンで本格的な中華始めようとしてるんだ!?」
「やっぱり、坦々麺とか回鍋肉の方が好きでしたか?」
いや、メニューの問題じゃないよな? そもそも俺は洋食の方が好きなんだよ。
「だから何――」
「やっぱり、中華といえば青椒肉絲ですかね」
・・・なるほど、何としても押し切るつもりか。
なら、俺も後には引けない!
「だ「豆板醤と甜麺醤どっちが好きですか?」
「d「私、食べるラー油が邪道な気がして仕方ありません!」
「お前にラー油の何が分かる!!」
俺のご飯の親友を侮蔑するとは、何たる仕打ちだ!!
「だって、所詮は調味料じゃないですか」
グサッ
何か胸が痛いなぁ・・・・・・
「・・・・・・はぁ」
どうやら俺は、友佳のフィールドでは力押しでは勝てないようだ。
いや、俺が打たれ弱いだけか?
あ、俺の家だし・・・・・・
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