さくら

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制服がまだぎこちない中学生が駅前の大通りを歩いている。 僕はその大通りの路地裏に歩みを進めていく。するとそこには大きな……だけど寂れている屋敷がある。その中に入ると一本の大きな桜が今満開に咲いている。 僕はその桜が好きだ。その桜を描きに僕は小六の頃にこの場所を知ってからずっとこの季節に通っている。 桜の木の下に腰を下ろす。ここでは時間が止まっているかのように静かだ。時折吹く風が花びらを舞い散らす。 そうして一呼吸おいて、僕は絵を描き始めた。
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