終了の記憶

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◇◇◇  人は、あらかじめ決められていた運命には逆らえない。抗う事は出来ても、決して運命には勝てないのだ。  いくら努力しても、どんな才能があったとしても、それは変わらない。いや、変わらなかった。  無数にもある時間の中、ここは始まりかもしれないし、終わりかもしれない。運命、という一つの『絶対』は永久にも近い時間の終着点だ。  なら、その先には何があるのだろうか?  運命が変わらないのなら、運命の無い世界に行ってみたい。  もしかすると、辿り着く先にあるのは―― ◇◇◇ 「実験は成功と言えるでしょう。しかし、油断は出来ません」 「分かっている。遺伝子の改変が行われる前に、だな?」 「ええ。この子を救うには、時間がありません」 「……救う。救ってみせる。運命を変えて、未来を作るんだ」 「辛い、ですね」 「だが、この子を救う為に、私達はこの子を犠牲にしなければならない」 「後は、この子次第です」 「ああ。私達の愛しい子……願わくは、この子に明るい未来を……」
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