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その家庭は賑やかだった。 親はいない。 そんな事情を抱えた家なんて少なくはない。 少女はひとりだった。 だけど生活には困らなかった。 両親が遺してくれたお金があった。 両親の友人から毎月手紙付きで生活支援金が送られていた。 けれど、一度もあったことはなかった。 仕事の都合で世界を転々としているとのことだった。 彼女は追求しなかった。 寂しくなんてなかったから。 昔はどうだっただろう? 覚えていない。 気付いたら皆がいたから。 朝起きれば、おはようをいう人がいる。 気づけば彼女はその輪の中にいた。 そう、気づけば…… 本当に、いつから彼らは居たんだろう……?
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