桃太郎

5/11
前へ
/39ページ
次へ
村の入口で足が止まった。 ーー村が燃えている。 その真中で小男が笑い声を上げていて、少年は怖くなって岩陰に隠れた。 「宝はどこにあるんだよ。早く出せや。」 小男が怒鳴る。 横には家来のようなのが数人、何やら物騒なものを肩に担いでいる。 島の人間も何か叫んでいたが、それは地鳴りのようで、聞き取ることはできなかった。 「早くしねえと、もう一人死ぬぞ。」 ぼんやりと死体の山が見えた。 その横で髪を引っつかまれているのは、どうやら次男のようだったが、少年の頭はぼうっとして、何が起きているのか分からない。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加