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「…でも、どうしてもお父さんに赤ちゃんを抱かせたかった。お父さんの血を継いだ子どもを産んであげたかったのよ…その気持ちが…きっとすみれちゃんと私、似てるんじゃないかと思ったの。…あ、この話は直樹には内緒ね!」
「私…元気な赤ちゃんを産みます!だから…楽しみに待っていて下さい!」
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あれからお義母さんと別れて、お母さんにも報告をした。
多分相変わらず仏壇の中のお父さんにもおしえるのだと思う。
そっか…
こうやって“家族”って繋がっていくんだ…
「なんか楽しそうだね。」
窓の外を眺めながらいろいろ考えごとをしていたら、直樹に肩を抱き寄せられた。
「ん~…私って幸せなお嫁さんだな、って思って。素敵な旦那様がいて、優しいおしゅーとめさんに恵まれて…」
「?」
直樹は首を傾げている。そこは女同士じゃないとわかんないから…秘密にしておこう…
赤ちゃん。
私をお母さんに選んでくれてありがとう。
直樹をお父さんに選んでくれてありがとう。
心の中でそう呟きながら、まだまだぺったんこのお腹を撫でた。
空の向こうで星が一瞬キラリと光った気がした。
きっとあの光は、次の赤ちゃんなんだと信じてカーテンを閉めた。
こうして私たちは命を紡いでいく。何年も何十年も何百年も…
そのときには…また私の笑顔をみつけてね!
~おわり~
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