1:始まりの日

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……と、こんな感じで狐との出逢いを簡潔に語ってみた。 出逢い方も雨の日で玄関前だったんだから、説明が簡単でも仕方ないとは思う。 今日の朝から話してもいいのかもしれないけど、長いから割愛させてもらう。 「さて、と……」 スッポリと腕に収まった狐を連れて、風呂場へと向かった。 シャワーをぬるま湯ぐらいにして、寒さで震えていた狐の身体にかけてやると、気持ちいいのか目を細めていた。 「気持ち良いか?」 頷いた……気がした。 「それにしても大人しいな。誰かに飼われてた……のかな?」 ただ単に人間に慣れているだけなのかもしれないけど、どうにもこの狐からはどこか人間らしさみたいなものが感じられた。 まるで僕の言葉を理解してるような、そうでないような……。
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