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不良と少女1
「ここら辺に人を燃やして灰にする場所はありませんか。」
「………は?」
「お母さんにこれを届けないといけないから。」
そう言って自分の目の前に突き出された笑顔の老婆の遺影に、団地は困惑するしかなかった。
…なんなんだ、こいつ。
いきなり現れた真っ黒い服のガキは先程までボーっと突っ立ていたかと思うと、いきなり俺の前まで歩いてきた。
その間、ガキはずっと俺の目から視線を逸らす事はなかった。
自分で言うのは何だが、自分の目つきの悪さは自分でも充分自覚している。
そのせいで今まで俺は誰かと目が合えば逸らされるか喧嘩を売られるかのどちらかしかなかった。
しかしこのガキは何だ。
目を逸らすでもなく怖がるでもなく、ただこちらを見つめ、ゆっくり近づいてくる。
しかも無表情で。
そのせいか俺もその目から視線を逸らす事は出来ず、ガキが近づいてくるまでの間、お互い見つめあう形となってしまった。
そして目の前に来たかと思いきや突然おかしな質問と共に、見知らぬ婆さんの……しかも遺影を突き出して来た。
「(……俺に一体どうしろと。)」
一体どういう反応をすればいいかわからず、ひたすらこちらを見てくるガキを、こちらも見る。
すると今まで静かだったいぐさが突然声をあげた。
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