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そうなれば尋ねる相手は一人に絞られてしまう。
一番奥に座って、やはり自分の事を見て(睨んで)いる黒い髪の男である。
咲はボーっとしていた目線をしっかり黒髪の男にあわせる。すると、相手は少し驚いたように目を見開いた。
そして咲はしっかりした足取りで男に近づいて行く。
周りのざわつきが一際大きくなる。
咲は男の目の前で足を止めた。
すると座っている男と丁度目線の高さが同じくらいになる。
そして咲は、口を開いた。
「ここら辺に人を燃やして灰にする場所はありませんか。」
「………は?」
「お母さんにこれを届けないといけないから。」
咲はそう言うと、脇に抱えていた祖母の遺影を男の前へと突き出した。
そこにはやはり笑顔の祖母が写っていた。
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