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 後ろからの視線はまだある。一体何なんだ、と思っていたところで教師が顔を上げ、こちらを見た。 「最賀、どうした?」 「あ、いえ……づっ、ちょっと体調が……」  この痛みではテストをするどころではない。保健室に行くために立ち上がろうと腰を上げかけたところで、ぴたりと動きが止まった。止めざるを得なかった。  ひんやりとした何かが護の頬に触れている。それは小さくて華奢な、静のものとよく似た手のように思えた。冷たいと言っても、体温が低い冷たさではない。護は詩人ではないが、生気がない冷たさだと思った。 「……おい、最賀? どうした?」  目を見開いて止まったままの護に教師は不思議そうに首をかしげる。息を吸う事も吐く事も出来なくて、膠着状態に陥っていた護の耳元にそっと何かが囁いた。
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