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ゴールデンウィーク明けの月曜日は、皆の顔が憂鬱になる。長い休みから解放され、これから当分祝日もないのだと思うと気が重くなるらしい。
最賀 静(さいが しずか)は一般的な学生に比べれば憂鬱ではなかった。長い休みになるとどうしていいか分からず、暇を持て余してしまう傾向があるからだ。それに学校に行けば皆と会える。静は学校がそれなりに好きだった。
午前七時、制服に着替えた静は洗面台の前で身支度を整えていた。朝食はまだなので歯磨きは後になるが、出来る限り今の内に整えておきたい。肩下まである長い黒髪を丁寧に梳(す)く。
「シズー」
と、兄の護(まもる)が静を呼んだ。振り返ってみれば、先ほど起きたばかりなのか、兄はまだ水色と白のシマシマ模様の寝間着を着たままだった。
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