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「俺の背中さ、何かある?」
「何か?」
じっくり見るが綺麗なものだ。怪我など何もない。ほくろや産毛を指して「何かある」とするのはよほど気にする者だけだろう。
「ううん、ないと思うけど」
「そっか……ないならいいんだ、ありがとう」
護はどこか腑に落ちなさそうな顔で再びパジャマを着た。静は首をかしげる。
「お兄ちゃん、何かあったの?」
「ん? いや、ちょっと変な夢見ただけだよ。シズが心配するような事は何もないって」
「でも……」
「問題あったらちゃんと話すよ。な?」
「……うん」
笑顔を浮かべる兄に頷く。護は悩んだ時に誰にも相談しないような性格ではない。むしろ積極的に話す。同時に、相手の悩みや話も真摯に聞く。兄のそういうところが静は好きだった。
「あー、目ぇ覚めちゃったし着替えてくっかな」
「うん、二度寝しないでね」
「しねぇよ」
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