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それから数日が経った。
結婚はまだ早いから、とりあえず婚約だけして、私達は元の生活に戻った。
私は学校で丸山くんと一緒に、蓮と三島様を下駄箱で待っていた。
お二人は学年長会議に出席中だ。
「あ、そういえば。茜が今度ウチに来いって言ってた」
「へぇー。『茜』ねぇ……」
「なんだよ。ニヤニヤすんな」
「別に?丸山くんも三島様とラブラブで良かったなぁって」
「お前程じゃねーよ。矢島様、お前の事超溺愛してんじゃん」
「そうかな?」
「そうかなって……。あんだけ愛されてんのに、まだ物足りないの?」
「物足りないわけじゃないけど、何だか恥ずかしくて……」
「恥ずかしい?何を今更」
鼻で笑う丸山くんに膨れる私。
そしてプイッとそっぽを向いた。
「丸山くんだって、こっちが恥ずかしくなるくらい三島様とラブラブしてるじゃない」
「は!?べべ、別にしてない!!」
「してるじゃない。この前なんてガチガチに緊張してたくせに、週が明けた途端にベタベタベタベタ。これはもう、『済み』って事でいいんだよね?」
「おまっ!?学校で何恥ずかしい事言ってんだ!!」
「丸山くんへの仕返しだもん」
ふと、快晴の空を見上げる。
私につられてか、丸山くんも空を見上げた。
「私達って、初めて会話した時もこんな状況だったよね」
「あの時は雨降ってただろ?」
「そうだったね。下駄箱で蓮を待ってたら、三島様を待ってる丸山くんがいた。私、初めて私以外に使用人の人が居ること知ったんだ」
「俺も。白川の事は知ってたけど、まさか自分と同じような境遇だとは思いもしなかった」
「あ、あの時教えてもらった洗濯の仕方をメイドさん達に教えたらめちゃくちゃ好評だったの」
「そりゃ良かった」
「丸山くん」
「ん?」
「友達になってくれてありがとう」
「こちらこそ」
二人、顔を見合わせて笑い合う。
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