嵐の幕開け

2/12
2134人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
気持ちいい朝。 私は他のメイドさんや執事さんに挨拶をして洗濯物を干している。 「おはようございます」 「おはよう、麻里ちゃん。洗濯物は私がやるから、麻里ちゃんは早く朝ご飯食べちゃいなよ?学校遅れちゃうわよ」 クスクスと笑って洗濯物を交代してくれるメイドさん。 私はメイドさんにお礼を言って、使用人専用の休憩所へ向かった。 そこに用意されている朝ご飯。 私は椅子に座り、両手を合わせて「いただきます」と言ってご飯を食べ始めた。 するといきなり後ろから抱き着かれた。 「きゃっ!?」っと小さな悲鳴をあげると、抱き着いてきた人物が私の耳元で囁く。 「おはよう、麻里」 ‐ビクッ‐ 甘い、少しかすれた声。 私はドキドキしながらゆっくり口を開いた。 「蓮…様……っ」 そう言うと蓮様は私の顎を掴んで自分の方に振り向かせた。 甘いアイドルのような顔。 彼の黒髪からいい匂いがする。 彼はこの矢島家のご子息、矢島 蓮(やじま れん)様。 私と同じ、高校二年生だ。 成績優秀で運動神経も抜群、そしてこのルックス。 そして何より、次期社長となれば、他の女性は彼をほっとかない。 .
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!