嵐の幕開け

3/12
前へ
/167ページ
次へ
かくゆう私も、蓮様に恋心を抱いている一人だ。 成績もまぁ普通、運動神経は最悪で、可愛くもなく美人でもなく、ただのメイドの私が蓮様と釣り合うとは到底思えない。 でも、好きになってしまったのだから仕方ない。 私はこの想いを胸に秘めて、蓮様と日々接するのだ。 白川 麻里(しらかわ まり)、高校二年生。 片思い歴はもうかれこれ10年ぐらいになる。 「何一人で飯食ってんだよ。また一人で学校行くつもりかよ?」 「あ……えっと……」 「同じ学校で、しかも同じクラスなんだから一緒に行けばいいだろ?」 そう。 私は旦那様と奥様の配慮により、蓮様と同じ学校に通わせていただいている。 私以外みんなご令嬢やご子息で、一介の使用人の私は恐れ多い気持ちと、蓮様と一緒に居られる嬉しさでいっぱいだ。 私は小さく手を振った。 「蓮様とご一緒に登校だなんて恐れ多いです。私は一人で……」 「そうやって、この間電車で痴漢に遭ったんだろ?」 「う……」 蓮様がため息をつく。 それから私の腰を掴んで引き寄せた。 近い……っ 蓮様の綺麗な顔が近い……っ .
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2137人が本棚に入れています
本棚に追加