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「れっ、蓮様……っ」
「その『蓮様』ってやめろよ。父さんと母さんがお前を拾ったのは、お前を使用人にする為じゃねぇんだよ」
「ですが……」
「二人も言ってるだろ?『お前はもう娘なんだから、使用人のする仕事はしなくていい』って」
「私は、旦那様と奥様に恩返しがしたいのです。ですから、これは私が好き好んでやってる事でして……」
「何?口答え?いい度胸じゃん」
蓮様が意地悪く笑う。
そんな表情にまでときめく私は異常だと思う。
「蓮様……っ」
「『蓮』って呼ぶまで離してやんねぇ」
「そんな……」
「ほら。可愛く名前呼んでみな?」
言うまで離してくれそうにない蓮様。
でも呼び捨てなんて……。
なんて恐れ多い……っ
私は真っ赤な顔で俯き加減に口を開いた。
きっと今、私は涙目に違いない。
「もう、お止め…下さい……っ」
「麻里」
「…っ!!」
耳元で名前を呼ぶなんて、反則です……。
私がプルプル震えていると蓮様が少し離れて、私の頭にポンと手を置いた。
「今日一人で学校行ったら、これ以上のお仕置きだから」
そう言ってニコッと笑うと、蓮様が休憩所から出て行った。
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