ズル休みとプリン

3/3
前へ
/135ページ
次へ
「いちごちゃん…早く食べないとラーメン伸びる。」 そう言われていちごはハッとした。 ラーメンはいちごの大好物である。 今日の給食は今月の献立が発表になってから、ずっといちごが楽しみにしていたモノのだ。 その為、いちごの朝のテンションはいつもより更に高かった。 「あーっ!そうだった!もともと超絶に少ないスープが更に減っちゃう!」 「早く食べないと」 急かす咲に、いちごはゆっくりと咲に視線を戻す。 「……もしかして、その為にプリンやったとか言わないよね?」 いちごがジトっとした目で咲を見る。 「……………」 無言で目を逸らす咲に、もーっ!といちごは唸った。 「咲ちゃんは私のラーメンより自分のプリンの心配をすればいいの!」 そう言いつつ、いちごはいそいそとラーメンを食べ出す。 そうなのだ。 大依が咲にちょっかいをかけてきて、それに対していちごが反論すると、いつもケンカが止まらなくなるのだ。 今回も放っておいたら、いちごのラーメンのスープが跡形もなく無くなるまでケンカし続けていただろう。 「でもプリンなんて給食じゃ、ラーメン並に超絶レアだよ?大依なんかに上げてよかったの?」 「うん。今日は帰りにお父さんにご褒美貰えるから。」 「ご褒美?」 「うん。だからいいの。」 そう言って、咲もラーメンをすすった。 大依はその姿を離れた自分の席からジッと見ていた。 その手にはプリンが握りしめられていた。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加