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電話を掛けるかそれともメールするか。
夜八時頃、僕はリビングでソファに座り、携帯を開いたまま思案していた。
一人で暮らすにはだだっ広い一軒家。二年前からずっと僕だけで家の中のどこにいても誰もいないのだが、なんとなく今日は一人では広すぎるリビングで携帯と向き合っていた。
普段はほとんど自室に籠っているのだが、気分的な問題だった。
そもそも電話ないしメールを彼女にしたところで、何と言えばいいのだろうか?
僕は彼女と前みたいに話せるように戻りたい。
彼女もそれを望んでいたから仲直りしたと言っていた。
けれど僕は自分からわざわざさらにお互いの間に亀裂を走らせるような行動に出たのだ。
それに対して何と弁明すればいいのだろうか?
謝ればきっと彼女は許してくれる。
押しに弱いし、それに何よりも彼女は優しいからギャーギャー喚くことはまずないだろう。
けれど許してもらったところで何の解決にもならない。
僕が近づけば彼女を傷つける。
それはわかっている。
だから離れようかと思っていたところへ彼女が話し掛けてきたことをいいことに甘えた。
僕は携帯の電話帳を開き「湊有紗」の項目でボタンを押す。
画面に表示される彼女の電話番号とメールアドレス。
僕は電話番号の項目に選択を合わせ、ボタンを押し彼女へ電話を掛けた。
話す内容も具体的な打開策も考えてついていなかったが、とにかくまずは彼女の声が聞きたかった。
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