決意

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「そ、そうね」  彼女がそう頷いたので僕らはベンチに、一人分ぐらいの距離をお互いの間に空けて座った。 「……」 「……」  一度話を途切れさせてしまったせいか、僕も彼女も言葉を発することができず、お互い沈黙してしまう。 「君は僕が近くにいても本当に大丈夫なのかい? 僕に気を使う必要は全くないから、正直に答えて欲しい」 「……あなたは私に嫌いって、近づくなって言わせたいの? 私はあなたにとってやっぱり迷惑? 普通に話したいとか思うのも、駄目なの? 私ってうっとうしい?」 「そんなこと、僕は一言も言ってないだろう」  思わぬ反応にたじろきつつ僕は返す。 「だってあなたは私が正直に話しいるのに疑うんだもの。本当のことを言っても全然信じてくれない! それってつまり、そういうことでしょう」  表情を歪め感情的に、彼女にしては強い口調。 「違う。君が本当に僕のことを怖がったり嫌な思いをしていないんだったらそれでいいんだ。君は全部自分のせいにして無駄に他人に気を使うところがあるから、僕に対して無理しているんじゃないかと思っただけだよ」 「私は無理なんかしていない」 「うん。そうみたいだね」  はっきりと言う彼女に僕は頷き、その言葉を信じたことを示す。  彼女は僕のことを怖がっているわけではなく、本当に、本心からまた元のように話し合える関係になることを望んでいるようだ。  きっと友達として。
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