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「そ、それは……」
「ごめんなさい。私が変にまとわりついたせいね。私、あなたとは友達でいられればそれで良いの。友達だったらあなたは私のことを見てくれるでしょう。それにあなたが誰と何をしてたってなんとも思わずに済むもの。私はあなたにとって他の女の子達と同列になるなんて嫌だもの。ごめんなさい……。意味がわからないわよね。ごめんなさい……」
涙ぐんだとわかった瞬間に彼女は僕から顔を背け、そのまま逃げるように去っていった。
僕はその後ろ姿に手を伸ばしかけたが掴むわけにも待てと言うわけにも追いかけるわけにもいかず、ただ呆然と座り込んでいるしかなかった。
彼女にキスしようとすればこうなることはわかりきっていたはずだ。
彼女は合コンの時、僕のことを思い切り引っ叩き拒絶した。
そして震えていた。
明確に僕のことを怖がっていた。
そんな彼女に今また同じことをしようとしたのだ。
そしてまた怖がらせたのだ。
折角彼女と自然に会話したりできるところまで持ち込んだのに、それを全て無にした。
所詮彼女にとって僕は友達で、彼女もそれが良いと言っていた。
他の女の子と同列になるのは嫌だとかよくわからないことも言っていたが、どうも彼女は僕が遊び歩いていたりすることも知っているような口振りだった。
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