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でもこのままではきっと非常にまずい。
彼女に近づこうとして距離を置かれてしまって壁を作られては今までしてきたことの意味がない。
なんとか修復しなければならない。
僕は立ち上がり歩き出しながら考える。
とにかくもう一度きちんと彼女と話し合う必要がある。
話さなければ彼女は僕がうっとうしいと思っているからだと勘違いしたまま避けてくるに違いない。
いや、もはや不用意に手を出してくる危険人物として恐れられているのかもしれないが。
とにかく彼女の反応を窺うしかない。
そのためには彼女にアプローチをかける必要がある。
僕は駅を出て傘をさし、歩道を歩きつつバッグから携帯を取り出し開く。
ホテル街で迷子の彼女を助けた際に赤外線で電話番号もメールアドレスも送ってもらっていた。
だから連絡を取ろうと思えばいつでも取れる。
今すぐするのは気まずいし彼女をびっくりさせるだけなので、時間を置く必要があるが。
携帯のディスプレイが傘をさしていても雨が強いせいで濡れかけてきたので、僕は閉じてバッグへと戻した。
色々と細かく考え込むにも彼女に連絡を取るにもまず家に帰らなければ始まらない。
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