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しかし、電話は相手の携帯に繋がるものの、肝心の彼女は出てくれなかった。
規則正しい機械的なコール音だけが僕の耳に響く。辛抱強く出るのを待ってみるが、彼女が出る気配はない。
やがて留守番電話サービスへと繋がれたので、僕は仕方なく通話を諦めた。
代わりに留守電を残すのではなく、メールを打つことにする。
とっさに言葉が思い浮かばなかったし、一方的に音声だけを残すのは相手をより萎縮させかねなかったからだ。
もう一度きちんと話がしたい。
是か非かだけでもいいから返事が欲しい旨を打ち、僕は送信した。
それから僕は秋の試験に向けて資格の勉強をしたり読書したりしつつ過ごしていたが、その日のうちに彼女から返信がくることはなかった。
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