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春、僕は大学に入学した。
大学生になってからまだ数日。
今日は履修登録とか、その他色々な説明をされただけだった。
本格的な授業が始まるのはあと一週間は先だ。
キャンパス内は僕と同じ新入生が多く、歩き回ればあちこちで部活、サークルの勧誘が行われている。
僕の手にはそういったビラがたくさんあった。
歩いているうちに次々と押しつけられたのだ。
そして今、僕はとあるイベントサークルについて、二人の女の先輩達から説明を受けていた。
いや、正確には半ば無理やり受けさせられていると言える。
「ウチは月一で飲み会を開いたり、みんなで夏は海に行ったり冬はスキーをしたり、とにかくいろんなことしてるから楽しいよ。和気あいあいとしてるし」
片方の茶髪の先輩がそう話す。
「君、顔もいいし、きっとイケるって。ね、今日やるお花見だけでもいいからさ。まずは雰囲気だけでも知ってもらいたいな。ていうか、個人的にすごく来て欲しい。君いるときっと人が集まると思うんだよね」
もう一人の同じく茶髪の髪の長い先輩にそう言われた。
僕はその後何度も断ろうとしたが叶わず、最後には半ば無理やり花見に連れて行かれることに決まってしまった。
そんな辟易とした気分で参加することになった花見が、僕の運命を変えることになるとは、この時は思いもしなかった。
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