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そう言って逢は龍之介たちいるの方へと戻っていったが、遥斗はしばらくの間そこから動くこともできなかった。
理解できなかった、逢の言っていることが。
いや、理解はできたがそれを受け入れたくなかったのだ。
別に逢が嫌いなわけではない。
むしろ好きか嫌いかで言えばかなり好きだ。
だがそれは決して恋愛感情ではないと遥斗自身思っていたし、逢もそうなのだと思っていた。
だが、違った。
違ったのだ。
逢は遥斗のことを異性として好きになっていたのだ。
「………っ」
そのことをはっきりと頭の中で理解した時、遥斗は一気に押し寄せた様々な感情の波に飲み込まれ、思わず身震いした。
遥斗の心に押し寄せた感情、喜び、照れ、そして…恐怖。
そう、恐怖だ。
逢に好きだと言われて嬉しかったのは事実だ。
他人に好意を寄せられるというのはただそれだけでとても幸せなことだ。
顔を赤くして笑顔で告白してきた逢におもわずドキッともした。
だが、同時に言いようのない不安と恐怖にも襲われたのだ。
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