非日常への入り口

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明るい子だ。 そこそこ部員数は多い新聞部だったが、いわゆる”幽霊部員”が多いせいでその活動は細々としているのが現状だ。 覚えていないヤツがいるくらい。 少しは賑やかになるかもしれない。 「一応入部手続きとか終わってるんだが、紹介しとこうと思ってな。それだけ。手間取らせて悪かったな」 「あ、いえ…。えと…じゃあ私帰りますね。綾瀬さんも、部活今日休みだから明日からね。あ、部室の場所わかるかな……うん、そうそう――…」 ――私がこの時感じていた違和感を、もう少しだけ大切にしていたなら、あんな事にはならなかったのかもしれない――。 確かに新聞には私の名前が残されていたが、名前が載っているのは何も私だけではない。 レシピの記事にも私が担当した事は書かれていない。 先生が事前に紹介した? しかし先生は、たまたま教室に居合わせた私を呼んだのだ。 先生が来る前に職員室には彼女がいたのだから、そんな時間はなかったはずだ。 彼女は何故、私を"高峰”だと認識できたのか――。
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