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「いただきます」
『いただきます』
青年の号令のもと、全員も復唱し箸を手に取った。
朝食の始まりだ。
八畳ほどの畳の部屋は大きなテーブルが一つと箱形テレビ、小さな本棚があり整頓されている。
ここは青年の部屋。
先ほどの女性の部屋の隣、二〇三号室。
青年はこのアパートの管理人だった。
名前は神崎志貴。今年一七歳を迎える現役の高校生だ。
彼が何故このアパートの管理人をしているかはさておき、現在この部屋には彼を含め五人が食卓を囲んでいる。
一人は隣の部屋の住人である女性、東雲寧々。
「いつもこんなに美味しい料理を作れるなんて、流石私の夫ねぇ」
「……寧々、それは僕に対する挑戦かい?」
寧々の言葉に、彼女の対角に座っていた肩口までの真っ白な髪を綺麗に整えた青年が口を挟んだ。
彼の名前は柊翼。
志貴と同じ学校に通い、人望が厚く生徒会副会長を務めている。
絶世の美男子と言ってなんら謙遜はなく、学校ではファンクラブが出来ているほど。
「翼、それよりも今日は大事な会議があるのだから食べ終えたらすぐに出ますわよ」
片手で前髪を上げて寧々と視線をぶつけ合っていた翼に、腰までの金髪を綺麗にウェーブさせている少女が視線は手に持つ茶碗へと向けながら声をかけた。
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