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「面倒くさい…。
って言うか、私何で学校来たんだろ?」
微かな声で呟けばコンクリートの上に腰を下ろす。
…瑠華の特等席。
ここへ来ると決まってその場所に座る。
風通しのいい日陰。
空を見上げれば青。
ふと、グラウンドに目をやれば春の風で桜が舞う。
「あーあ、勿体ない…」
つい数日前、満開を迎えたばかりのその花の終わりが、今の瑠華には儚く見えて仕方なかった。
そして…、居心地のいいこの場所で、瑠華はゆっくり瞳を閉じた。
「そっか…。
私…今日、晴れたから学校来たんだ…」
たったそれだけのこと。理由なんていらなかった。
その日行く先も、する事も…まるで天気のように気まぐれ。
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