お母さんの子供じゃない。

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「朝芽(アサカ)は家の子じゃないのよ」 ある朝、酔っぱらってくだを巻いたお母さんは、あたしに言った。 「あ。そうなんだ」 お母さんはよく酔っぱらって朝帰りしてくる。 その日だって、いつものことだと思ってた。 だけど。 「えっ?」 今、普通になんて言ったの?彼女の赤らんだ顔を凝視してしまった。 「だから。アサカはあたしの子じゃないのよ。……あっ、言っちゃった」 口を両手で押さえるけど、もう遅いのだ。 耳の奥から脳にまでしっかり辿り着いてしまっている。
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