思いたいのに。

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タカ兄は、あたしの顔を見つめたまま、襟元を直してくれた。 「……プロレスしてた」 そうだ。あれはプロレスだ。 「小学生かよ」 「若返ってた」 「幼稚園レベルの脳しかないのにか?老けたの間違いなだろ?」 「がうっ」 威嚇して返したのに、なぜか頭を優しく撫でられた。 「早く、着替えろよ」 「気力がないのだ」 「疲れすぎだろ」 しばらくくだらない話をしてテレビを観てた。 夏休みだし夜更かししても明日を心配することもない。 いつまでも起きてられそうな気分になる。 タカ兄が「ねみー」と大あくびをする。 「朝まで起きるのじゃ」 得意の侍DVDを手にして、気を引いてみた。が。しかし。 「却下」 「がうっ」
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