思いたいのに。

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だけど、酔っ払いのお母さんにあたしの顔をピタピタと叩かれて起こされた。 「アサカ―。こんなとこ寝るんじゃないの。しかも浴衣で」 「へっ?」 壁にある時計は6時半を指していた。 「部屋で寝るのよ」 「はいはい」 腰をあげて、周りを見た。 つきっぱなしのテレビに、冷えた部屋。 飲みかけの元炭酸水。 あたしが寝る前と変わらない光景。 ギュウギュウと胸が騒ぎだす。 「……ヤマ兄は?」 「ヤマト?見てないけど。そう言えば、靴無かったわね」 「靴ない?」 「ていうか、何このティッシュ。ちゃんとゴミ箱捨てなさいよー」 文句を言いながらテーブルの上の小さな白い山を掴んでた。
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