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「はは、俺はアホで、お人よしが取り得やからな」
はははっと笑顔で笑う俺に三神は怪訝そうな顔のまま、まっすぐ前を見つめた。
「貴規君は自分のこと考えやんのですか?」
前を向いたまま三神は言う。
俺は、少し考えてから口を開いた。
「おお、考えやんわ」
正真正銘のアホやとでも言うような目で俺を見てくる三神。それを無視するように俺は続けた。
「俺はな自分のことより人のこと考えてるほうがいいねん」
そう、昔から世話のかかるアイツをずっと助けてきたから。
いつの間にか自分のことよりあいつのことを優先するようになって俺はお人よしなんて呼ばれるようになったんだ。
「俺は、あいつらに何も出来やんのよな。自分が情けない」
「……貴規君はもうよくやってるとおもいますよ」
悲しそうな、なんともいえないような顔をしてみてくる三神に俺は笑顔を向けるしかなかった。
「なあ、祐真」
「なんです?」
やっぱなんでもないわと笑顔を向けて勢いよく立ち上がった。
そして公園をでようと歩き出す。後ろからは三神が小走りで追いかけてくる。
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