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当たり前につねったところはじんじんと痛みが増していく、やっと理解し始めた。
俺は過去に戻ってる。
そう理解し始めると同時に、流輝の後ろから懐かしい顔がそろっていた。
「すまんなあ、貴規。俺のボールそんなに当たり所がよかったか?」
目の前で手を合わせながら笑顔で謝ってくる新がいる。
あの頃と変わらない。完璧を装った新の姿。
「俺、夢でも見てるんやないか」
「はあ? 貴規君、頭イカれました?」
新の隣にいる生意気な後輩はさっき見たより幼く、あどけなさが残る顔で怪訝そうな顔をこちらに向けて厭味をいいにくる。
「え、ああ。頭おかしなったかもしれん」
もう俺の頭はぐちゃぐちゃで爆発しそうになってきた。
「なんや、貴規俺のボールそんなに打ち所よかったんか?」
そう言って眩しい笑顔を向けてくる新。
「新。だまれ! 俺がお前のへなちょこボールで俺の天才的な頭が死ぬわけないやろ」
はあ? シバくぞ! と追っかけてくる新になんともいえない嬉しさがこみ上げてきた。
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