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「もう貴規! 心配させないでよ」
新と取っ組み合いをしていると流輝が膨れっ面でこっちを見ていた。
「流輝。すまんな、もう大丈夫や」
いつもの彼女のクセだ。
自分だけ、話に入れないと機嫌が悪くなる。
「もうしらない」
そういってそっぽを向く流輝。
「すまんすまん。今日一緒に帰ったるから許せ」
そういって俺は嬉しさのあまり蔓延の笑みを浮かべた。
流輝は満足したように笑顔で返してきて、俺は嬉しさがこみ上げてきた。
何より過去に戻ってきて皆に会えたのがよかったし、またあの頃のように笑い会えるのがうれしかった。
でも、俺は最悪な未来を知っている。
この幸せな未来がそうずっと続くことがないことも知っている。
今日が4月6日なら、流輝が事故にあうのは四ヶ月くらいたった8月24日。
それまでに俺は未来を変えられるだろうか。
あいつらが笑って過ごせる未来に変えることはできるのだろうか。
嬉しさの反面俺の心の中はそんな不安に苛まれていた。
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