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「遅い! 貴規遅刻な」
「はあ? 何でやねん。ちゃんとチャイムと同時に入ったがな」
チャイムと同時に入るなんか認めへんと教壇の前で俺を立たせて怒っている田戸ちゃん。
しかも、俺だけ怒られている。
新と流輝は俺を囮に二人だけ先に座りよった。
「もうええわ!」
と言って椅子に座りに行く俺を田戸ちゃんは出席簿でパコン! と叩いて早く座るように促した。
「ご愁傷様やな」
殴られたところをさすって自分の席に着くと後ろの新が話しかけてきた。
「誰のせいやっちゅうねん」
「すまんすまん、今度こけしやるわ」
「こけしなんかいらんわ、ぼけ」
本気でカバンからコケシを出そうとする新に突っ込みを入れて前を向く。
俺の席からは丁度斜め前の流輝が見える。
彼女は俺のほうをむいて口パクでごめんと呟いていた。俺はそれにええよと口パクで返した。
これが俺の日常だ。
これから俺が変えなければいけない最悪な未来への過去。
俺には出来るかわからないけどそれでも俺しか出来るやつはいない。
まずは初めに流輝と新をくっつけやなアカン。そうすればあいつらは幸せになれるやろ?
それで、俺があの事故を起きないことにすればいい。
それで、俺の仕事は終わり。
そんな事を考えながら、授業の始まりのチャイムが聞こえた。
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