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四時間目の終わりのチャイムが眠りそうだった俺の頭をいち早く起こした。
そしてチャイムと同時に教室を飛び出していく奴や、友達とわいわい騒ぐ奴。
俺は、そんな和には加わらず窓の外をボーっと見つめていた。
「あー授業ら三年ぶりやんけ」
ボソっと呟いた独り言は誰にも聞かれずクラスの雑音にかき消されていく。
「貴規。お前早よせいや、皆いつもの場所で待ってるで?」
急に声をかけられ、声の主のほうを向くとそこには新がにこやかな笑みを浮かべて弁当を持って立っていた。
「お、おんすまんな、今行くわ」
そういって自分の弁当を持って新と二人、屋上への廊下を歩いていく。
あの頃の俺達の貯まっていた場所が屋上だったなと昔を懐かしんでしまう。
「屋上ら三年ぶりかー」
「は? お前、屋上ら毎日行っとるやんけ」
しまったと思った。俺が過去に戻ってきてることは誰も知らないというより知られてはまずいだろう。
まず、信じてはもらえないだろうし、まずあんな未来俺に言える自身はない。
「お。おう! ちょ、ちょっとしたボケや!」
そういって新に思いっきりどもりながら誤魔化す。
「ほんま昨日から変なやっちゃな。」病院行ったほうがええんちゃうかと心配してくる所を見ると、うまく誤魔化せたようだ。
これが三神ならこう簡単にはいかないだろう、アイツはものすごく勘がいい。
アイツにだけはばれたら終わりだと思いながら新が屋上へのドアを開けた。
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