平凡と球技大会

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「ねえ、水森くんはなんにするの?」 考えている時に突然隣の子に話しかけられて肩が大げさに跳ねる。 「うあっ…え……えっと…特に、やりたいものはないよ」 「ってことは、フリー?」 「う、うん。そうなるかな…」 そう答えるとその子はすぐに笑顔になって、 「じゃあ僕たちと一緒にバレーしない?」 素早く俺の手を握って笑う。 そうなれば俺は断ることができなくなった。 ──…球技大会当日。 放課後や休日に猛特訓をして、なんとかトスやアタックをできるぐらいに成長した俺。 ちなみに俺以外はバレー部だったり運動神経いい人ばっかりなわけで、彼らは交代でみっちり練習をやってくれた。 教えてくれるのはありがたいよ。 でもね、 「おい、そっち行ったぞ」 「…は、はいっ」 ……チームの中に榎本さんがいるのが納得できない! いや、ダメなわけじゃないよ!? 運動神経いいし強くて頼れる。 だけどさっ、試合中に横からじーっと見られてたら集中できるわけないんですよ! つるんっ。 「ふぎゃっ!」 緊張で手が滑ってボールで顔面強打。 あまりの痛さに顔を手で覆って地団駄を踏む。 あー、もう! こうなったらやけくそだあぁぁ!!
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