平凡の今まで

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うん、ほら、今やっと見えた門も無駄にデカい。 きっと門の奥は俺の想像してるものよりずっと大きいんだろう。 金持ちのすることなんてわからないし。 そんなことをぼーっと考えていたらポケットに入っている携帯が震える。 誰かなんてのはわかってる。 だって俺の電話帳には兄貴の連絡先しか登録されていないから。 携帯を開いて画面を確認し、通話ボタンを押す。 「もしもし」 『今どこら辺だ?』 聞こえたのは昨日振りの声。 「今門が見えたとこ」 『ならもう着くな。迎えは誰がいい?』 「え、選択肢あんの?」 『俺か俺か俺。選べ』 「兄貴しかないじゃん」 『ははっ!ま、俺が迎えに行ってやるんだ。喜べよ』 「別に嬉しくないし」 『まあそう言うなって。じゃ、また後でな』 「ん、また」 お出迎えしてくれるのはどうやら兄貴らしい。 まあ知らない人よりはマシかな。 俺、結構人見知りするから。 「着いたよ、坊ちゃん」 ……と、着いたみたいだ。 年配の運転手さんが俺の顔を見てそう言った。 「はい、ありがとうございました」 笑顔で返して車を降りる。
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